「100年先も続く持続可能な農業を実現する」ために、農場で栽培を担当している鹿沼さんは、半農半Xという新たな働き方を実践しながら、テクノロジーを活用した次世代農業の可能性を模索しています。
今回は、AGRISTで農業を始めたきっかけや半農半Xで求められること、プラントオートメーションの実現に向けた取り組みについてお話を伺いました。
ハウス内を制御し、100年先も続く農業を実現する
─業務内容について教えてください
JA児湯の農場で栽培を担当しています。いわゆる”農家の仕事”ですね。
─AGRISTで農業をしようと思ったきっかけは
AGRISTのWebサイトに掲載されていた秦さんの紹介記事を読み、興味を持ちました。秦さん自身も就農はハードルが高く感じられ、なかなか踏み切ることができなかったそうです。そんな中で農業技術が解決策を生むのではないかと思い、AGRISTにジョインを決めたと書かれていました。やはり自分がプレイヤーにならないと、これからの農業課題の解決に何が必要かわかりません。さらに、記事には「エンジニアが自己満足のためではなく、ユーザーのニーズに応えるためにプロダクトを開発していく」という流れが紹介されており、非常に面白いと感じました。
私自身も埼玉の実家で農業を営んでおり、勤めていた会社を辞めて実家の農業を手伝うか、もう少し他の多様な農業を見て回るか考えていました。前職ではプラントエンジニアを務めていましたが、いきなり実家の農業を手伝うことになれば、あまり大胆なチャレンジができなくなってしまう。だからこそ、AgriTechに注力している会社で経験を積むほうが良いのではないかと感じました。
ブレイクスルーのために
─前職(プラントエンジニア)と現在の業務でつながっている部分はありますか
データを可視化し、制御することですね。
ハウス内の日射量や土に含まれている水分量などをデータとして捉え、可視化します。次に、それらを安定的に制御することが求められます。現在、AGRISTが手掛けているハウスはコンピューター制御を行っていないため、手動でコントロールしなければなりません。今後はそれらを自動化して制御することになります。
一般的な製造業は制御するための技術がだいぶ進んでいますが、農業の世界では課題が大きく残っています。なぜなら、制御する対象が「植物」という複雑なものだからです。AgriTechで100年先も続く持続可能な農業を実現するのであれば、いずれその課題をブレイクスルーし、制御できる状態にしなければなりません。
AGRISTが目指すゴールに向かって「半X」を共有する
──「半農半X」とはどういう働き方でしょうか。
AGRISTの中では「半農半X」の定義があまりはっきりとしていません。「半X」にあたるものは、農業に携わっている本人が見つけていくしかない。もちろん、目標とするゴールを共有することはできますが、そこに向かって誰がどのようなスキルを使ってアプローチしていくかは、自分の頭で考えるしかありません。
──鹿沼さんは、どのようにスキルを活かしているのでしょうか。
過去1日、1週間、1ヶ月と観測したデータがどのような動きをしているのか。数値が上がっている、もしくは下がっているとしたら、その動きは何に起因しているのか。それらに対して、植物生理や気象に関する情報など、さまざまな観点から総合的に判断し、仮説・検証を繰り返しています。
私のスキルを活用して達成したいゴールは、とにかくリスクの少ない栽培方針を決めることです。要は、解析の勘所を掴み、自動化できるように落とし込むところまで実現できたらいいなと思っています。
──実際に「半農半X」を実践されて、何か気づきはありましたか。
AGRISTという会社の中で農業を営むからには、単に畑仕事をするのではなく、そこにどのような付加価値をつけていくかを考えていく必要があります。栽培技術の体系化や、誰もが半農半Xを実践できるようなシステムづくりなど、いかに高次的に目の前のことを捉えて農業を営むかが求められていると感じています。
プラントオートメーションは100年続く農業のあり方の1つ
──AgriTechを実践する中で、面白いと感じる瞬間はありますか。
そうですね。農業は、1年通して実践してみないと結果がわかりません。今の取り組み方が正しいかどうかわからない中でずっと走っているので、1年後に良かったと思える時が来たらいいですね。
──どういった結果が出るのか、これからが楽しみですね。最後にAGRISTが実現しようとしている農業の未来デザインについて教えてください。
実現したいのは、プラントオートメーションの世界ですね。「植物」という不確定要素の高いモデルを数理モデルに置き換えて制御することは、非常に難しいです。そこに対してAIを使ってモデル化し、オートメーションを達成する。そのためには、もちろんロボットの活用や、モニタリングから将来の予測をすることも必要です。
そういったプラントオートメーションの世界を実現することが、100年先も続く持続可能な未来を牽引していくのではないかと思います。
人物紹介
農場管理者 鹿沼 -Kanuma-
埼玉県出身で実家は農業を営む。工場系のプラントエンジニアを経て2022年AGRISTへジョイン。100年先も続く持続可能な農業の実現のために前職のスキルを活かし農業を実践する。将来的に実家の農業を継ぐことを目標にしている。
AGRIST株式会社
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